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「えっ、えっ?いやん、こんなトコで……」
「違ぇよ、バカ!ほら気が済んだらもう行くぞ」
「待ってよぅ、ね、もうちょっとだけ」
笑顔で両手を合わせる沙弥に、孝太は笑みを返さない。
狂暴なほどに好奇心がギラついているのが、彼女の目で分かった。
いつもならばあっさりと敗けを認める孝太だが、今回ばかりは、とムキになる。
「ダメだ。置いてくぞ、ほら」
いくら促してみても、まだ沙弥はもじもじとごねている。
「沙弥!いい加減しろって!」
つい声を荒げてしまってからも、孝太の怒りは収まらなかった。
胃液が込み上げる不快な感情を消すためには、怒鳴り続けるしか手がなかったのだ。
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