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前橋教師は再度臨戦体勢に入った。その体勢のまま右腕の治癒を開始する。
「前橋先生、相手は俺じゃないですから」
俺の言葉に合わせたように誰かが俺の前に出た。
蒼く深い髪の毛の色、まさに無限の魔力を出すと言われた魔法四天王の一人に見えた。実際は兄貴だが。
「なんだそいつが切り札……」
「御託はいいからいくぞ」
前橋教師の言葉を遮った。やはり前橋教師は兄貴の正体をまだ分かっていらっしゃらないらしい。
「何だと、いくら右腕が使えないからと言って……」
「遅いよ、前橋」
「なっ!?」
俺には目視出来なかった。兄貴はいつの間にか前橋教師の背後に回り込んでいたのだ。回し蹴りを右腕に叩き込もうとする。
前橋教師は危険を感じたのか前方に回避した。顔に表情の変化は無かったが、冷や汗が額から出ていた。
「貴様まさかあの! 何故こんなところに、黄金龍にいるはずだろ!」
「どこにいようが俺の勝手にだな」
そう、兄貴は有名なのだ。どう有名なのかと言うと……
光の支配者……瀬口宇宙
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