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いきなり怒鳴られたようでつい返事をしてしまった。ナッカってヒカリぐらいにしか呼ばれてないんだよな。何でエリュードさんはそんなことを言ったんだろうか。
「だからあんたも……エリュでいいわよ……」
「……ああ、わかったよエリュ」
なんか流れに流された気分だ。
エリュードは影から出て夕焼けの光に当たった。風も強く、えんじ色のショートヘアの髪がゆらゆらと不規則に揺れている。
俺とエリュードの間は、歩いて届く範囲なのにとても何か離れている気がした。
エリュードはこちらに振り向く、するとニコッと笑った。眼帯をしている方もまるで目があるかのように見える。
俺は久しぶりに時が経つスピードを速く感じ、この場面を永久的に保存したい気持ちになった。
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