――はじまり、はじまり――

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「27階フロアに反応あり、容疑者はそこいますッ!」 デバイスの通信画面から慌ただしくオペレーターの指示が入る。 「了解、すぐに向かう!」 通報を受けて駆けつけた管理局員たちは緊張した面持ちで、各々の杖型のデバイスを握りしめ、足をさらに早めた。 ミッドチルダの湾岸デパート内で発生した爆発事件。 すでに客の避難は完了しているらしく、広い店内は閑散としている。 犯人が何者であるかの情報はまだないが、逃亡する様子がない以上、目的は達成できていないようである。 「……なにを考えているんだ?」 階段をかけ上がる局員の一人が苛立たしく呟く。 瞬間、またオペレーターからの通信が入った。 「27階フロア、犯人以外にも反応あり!誰かいます!」 「なんだとッ!?」 ハッと階段上を見上げる局員たち。 だが、その先は、真っ暗な闇に沈んでいた。
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