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男は士たちの前で立ち止まると、
なにかを突き出して言った。
「わたしは風都署の照井竜と申します。」
突き出されたものを見てみると“照井竜”と書かれた警察手帳だった。
「さっきの男とはお知り合いですか?」
「えっ、あ、はい…一応。さっきの人なにかしたんですか?」
夏海は半分答えが分かってはいたが、あえて聞いた。
「大切なものを盗まれましてね、またお話をうかがうことがあるかもしれません。」
「警察がそんなに簡単になにか盗まれるとはな。」
馬鹿にしたように身振りなどをつけて言う士。
「なに?」
照井は士を睨みつけ気まずい空気がながれた。
沈黙を打ち破ったのは、
ハァ
と、自分を落ち着けるように小さいため息をもらした照井だった。
「とにかくわたしはやつを追いますので、なにかあったらご連絡ください。」
照井竜は慌ただしくその場をあとにし、
大樹の去って行った方へと走っていった。
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