1.Dの旅人

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男は士たちの前で立ち止まると、 なにかを突き出して言った。 「わたしは風都署の照井竜と申します。」 突き出されたものを見てみると“照井竜”と書かれた警察手帳だった。 「さっきの男とはお知り合いですか?」 「えっ、あ、はい…一応。さっきの人なにかしたんですか?」 夏海は半分答えが分かってはいたが、あえて聞いた。 「大切なものを盗まれましてね、またお話をうかがうことがあるかもしれません。」 「警察がそんなに簡単になにか盗まれるとはな。」 馬鹿にしたように身振りなどをつけて言う士。 「なに?」 照井は士を睨みつけ気まずい空気がながれた。 沈黙を打ち破ったのは、 ハァ と、自分を落ち着けるように小さいため息をもらした照井だった。 「とにかくわたしはやつを追いますので、なにかあったらご連絡ください。」 照井竜は慌ただしくその場をあとにし、 大樹の去って行った方へと走っていった。
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