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「大丈夫でしょうか大樹さん…。」
心配そうに呟く夏海。
「なに言ってる夏みかん。あいつはさっさと捕まるべきだ!あの照井ってやつが捕まえてくれるといいんだけどな…。」
大仰にため息をつきながら士は夏海を見て言った。
「夏海です!!もう!私はそんな柑橘系の名前じゃないって何度も言ってるじゃないですか!」
「まあまあ夏海ちゃん。心配したってしょうがないよ。俺たちは俺たちのやるべきことをやらないと!」
ユウスケはうんうんと何度も頷きながら力強く言葉を発する。
「そういうことだ!とりあえず人のいそうな所に行くぞ。こっちだ!」
士は言うが早いか、ずんずんと進んで行ってしまう。
「あっ!おい、待てよ士!なんでそっちってわかるんだよ?」
道はまわりに何本かあるのだが、
どっちの方向に行けば人のいそうな所にでるのかまったく分からない。
「わかるさ。俺がこっちだと思った方に決まってる!」
自信満々に言う士に夏海は呆れたように言った。
「結局勘ってことじゃないですか!」
夏海の声が聞こえていたのかいないのか、
士はとくに答えることはせずどんどん先に行ってしまう。
「待ってください士くん!」
「やれやれ…。」
慌てて追いかける夏海とユウスケだった。
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