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梨花「え・・・?」
梨花はそれが聞き間違いだと思った。しかし、
羽入「今日行っていたのは、八百万の神々の集まりだったのです。そこで、神々は最近の人間の行動について、一つの結論を出したのです・・・」
梨花「その、結論って・・・?」
羽入「それは・・・」
羽入は少し間を置いて、それを言った。
羽入「人類を、始めから作り直すことなのです。」
梨花「そ、それって・・・!」
羽入「人類の浄化、なのです・・・。」
それは、あまりに残酷な事だった。破れると信じていた運命。でもこの世界ではその運命事態違った。
梨花「で、でも、それがどうしてお別れになるの?」
羽入「・・・・・・・」
梨花「羽入!」
羽入は意を決したようだ。
羽入「神々の中には、ボクのように、人と多く接している神もいますです。その感情は今後の作戦進行に支障をきたす、そうなのです・・・。」
梨花「つ、つまり、それって・・・」
羽入「・・・梨花との記憶を全て消すことなのです・・・。」
梨花「そ、そんな・・・。だ、だってやっとたどり着いた世界なのよ!それなのに、貴女が居なくなるなんて・・・嫌!」
羽入「梨花、ボクだって、梨花と別れるなんて、嫌なのです。でも、ボクにはどうしようもありませんです。」
梨花「そんな・・・」
もうどうしようもなかった。百年もの間、共に生きていた大切な身内以上の存在だった。その彼女が今、私の前から消えてしまおうとしている。
羽入「梨花、この百年間とても楽しかったのは貴女のおかげなのです。最後まで、一緒に、いられなくて、ごめんなさい、なの、です。」
彼女の頬に、涙が走る。それは、人と何ら違わない、暖かい涙だった。
羽入「もし、ボクが、梨花の事を、グスッ、忘れても、梨花はボ、ボクの事は、ヒック、忘れ、ないで、ください、なのです。」
羽入はもう顔が涙でくしゃくしゃになっていた。梨花も同じように、顔が涙でびしょ濡れになっていた。
梨花「うぅ・・・嫌、嫌!離れたくない、離れたくないよ・・・羽入、羽入!」
羽入「り、梨花。こ、こう言う時はわ、笑って、お、お別れなの、です。」
梨花「は、羽入だって、な、泣いている、じゃないの。」
羽入「うぅ~、梨花は、ひどい、のです。」
梨花「また、会えるわよね?きっと・・・」
羽入「きっと、なのです、梨花。それまで・・・さよならなのです。今までありがとうなのです。」
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