3人が本棚に入れています
本棚に追加
あるところに男の子がいた。
彼は重い病気で、長く入院していたが病状は悪化する一方。
両親も覚悟をしてか、暗い話題は持ち込まず、彼の前では無理矢理明るく努めた。
そんな親を見れば辛いなどと言えない男の子は、花壇の花や通りすがりの猫、はたまた木にとまる鳥を眺める日々が続いた。
やがて季節が巡り、暖かくなってきた。
だが男の子の身体は弱っていく。
もう病院内を歩くことも出来なくなり、窓から見える外が彼の唯一の世界になった。
そしてある夜、彼は熱を出す。
医師達の足音、両親の泣き声。
部屋の中には機械の無機質な音が鳴り響く。
彼の意識は闇の中。
最初のコメントを投稿しよう!