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雰囲気に圧倒されて、独り浮いている僕の所に一条先輩が戻って来た。
背後に、きっちり制服を着た若い男性を伴って…。
「お部屋へご案内致します」
慣れた身のこなしのホテルマンに従って、一条先輩と僕はエレベーターに乗り込む。
降りたのは20階。まだ足を踏み入れた事もない未知の領域だ。
【2014】と書かれたドアの前で立ち止まると、スタッフが鍵を開ける。
すでに暖かい部屋の照明を点け、
「何かありましたら申しつけください。ではごゆっくり」
ドアの前で丁寧な一礼をし、スタッフは出て行った。
はぁ~…。何だか緊張する…
ゆったりした間取りの部屋に、アイボリーとブラウン基調のシンプルモダンなインテリア。
ベッドはクィーンサイズのダブル。清潔で柔らかそうなリネンーー。
「あれ…、ツインで頼んだんだけど、手違いかな。変えて貰おうか?」
部屋の中をしげしげと見回している僕に一条先輩が尋ねた。
「…このままでいいです」
せっかく二人だけの夜なのに、別々のベッドなんて嫌だ。
「美咲がそう言うなら…
」
「一条先輩、こんな高価な部屋…僕には…」
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