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そうだ。僕もプレゼントがあったんだっけ…。
先輩の贈り物には敵わないけれど、気持ちだけはいっぱい込めた。
僕はエレベーターの中でジャケットのポケットに隠した、ペーパーバッグを取りだした。
無理矢理押し込んだせいでバッグはヨレヨレ。
だけど、チョコレートの小箱は無事なようだ。
「一条先輩、これを…」
「何?」
いざ手渡すとなると、乙女チックで、ちょっぴり恥ずかしい。
「チョコレートです。今日はバレンタインだから…。僕一生懸命作りました。受け取ってください」
一条先輩は少し驚いた様子だった。
でもすぐに左手で箱を受け取り、小さく「ありがとう」と言って僕をふわりと抱きしめてくれた。
やっぱり暖かいな、一条先輩…
「美咲、好きだよ」
改めて告白され、ドキドキしながら僕は応える。
「僕も一条先輩が大好きです…」
先輩の端正な顔が近づいて来る。
僕はゆっくり目を閉じた。
今宵は恋人に相応しいキスを…
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