マイ スィート バレンタイン

13/21
前へ
/107ページ
次へ
  唇が触れ合う寸前、 『トントン』 ドアをノックする音がした。 僕と一条先輩は顔を見合わせ、それからドアの方に視線を移す。 『トントン』 再びノックする音が静かな部屋に響く。 「おかしいな、ルームサービスはまだ頼んでないはずだけど…」 そう呟きながら、セキュリティ面も万全とあって、一条先輩は警戒心もなく照明を点けドアノブに手をかけた。 すると、一条先輩を弾き飛ばす勢いでドアが開きーー 「ジャ~ン、二宮甲斐華麗に参上!」 一瞬の静寂の後ーー 「二宮先輩!?」 「甲斐!!」 一条先輩と僕は同時に声をあげた。 「二人共おひさ~。仲良くやってる?」 びっくりしたのは僕より一条先輩の方。 「甲斐、なんでお前がここにいるんだ!?」 「へぇ~、なかなかいい部屋だな。夜景も最高」 一条先輩の問いを無視し、二宮先輩は僕の方へ向かって来る。 「やあ、美咲。君は相変わらずキュートだねぇ~」 変わらないのは二宮先輩の方。 いやむしろ物腰の優雅さや美貌に磨きがかかっている。 「おい、甲斐、答えろっ!なんでここがわかった」   
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加