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唇が触れ合う寸前、
『トントン』
ドアをノックする音がした。
僕と一条先輩は顔を見合わせ、それからドアの方に視線を移す。
『トントン』
再びノックする音が静かな部屋に響く。
「おかしいな、ルームサービスはまだ頼んでないはずだけど…」
そう呟きながら、セキュリティ面も万全とあって、一条先輩は警戒心もなく照明を点けドアノブに手をかけた。
すると、一条先輩を弾き飛ばす勢いでドアが開きーー
「ジャ~ン、二宮甲斐華麗に参上!」
一瞬の静寂の後ーー
「二宮先輩!?」
「甲斐!!」
一条先輩と僕は同時に声をあげた。
「二人共おひさ~。仲良くやってる?」
びっくりしたのは僕より一条先輩の方。
「甲斐、なんでお前がここにいるんだ!?」
「へぇ~、なかなかいい部屋だな。夜景も最高」
一条先輩の問いを無視し、二宮先輩は僕の方へ向かって来る。
「やあ、美咲。君は相変わらずキュートだねぇ~」
変わらないのは二宮先輩の方。
いやむしろ物腰の優雅さや美貌に磨きがかかっている。
「おい、甲斐、答えろっ!なんでここがわかった」
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