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「甲斐、お前ちゃんと大学には行ってるのか?
松平が心配してたぞ。留年するんじゃないかって」
「あぁ、あの人は心配性なんだよ。その辺は上手くやってるさ」
松平勇介さんは二宮先輩と同じ大学に通う、やはり男子校時代の先輩。
僕とはあまり接点がなく謎が多い人物だったけど、男気が強く、今でも二宮先輩にぞっこんだとか…。
お酒を飲んでいるせいかな、昔の出来事が懐かしい。
このシャンパンの名前
『 ベルエポック』
古きよき時代ーー
あの頃、
一条先輩と二宮先輩と僕は、訳あり写真部でいつも一緒にいた。
一条先輩と二宮先輩が口論するのもしょっちゅうで…
一条先輩は一度も勝てなかったっけ…
僕はそんな二人がうらやましかった。
一条先輩は二宮先輩にだけ、感情を素直に表す。
単なる親友と恋人の違いなのかな…
僕より沢山の時間を一条先輩と共に過ごして来た二宮先輩ーー
…あれ?
なんだか眠くなってきた…
瞼が重い…
眠っちゃダメだ。大切な夜なのに…
「…美咲?…美咲!」
二宮先輩が僕を呼んでいる。
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