願いのかたち

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  この廃墟で起きた、他校の生徒【毛利リベンジ事件】以来、僕と一条先輩はお互い両想いだった事がわかり晴れて恋人同士にーー なれたはずだった。 でも、保健室での初キス+α止まりで、僕と一条先輩の関係は一向に進展していない。 このまま先輩が卒業して会えなくなったらどうしよう…。 まだまだ僕は一条先輩を二宮先輩ほど知らない。 知りたい、どんな小さな事でもいいから… でも一条先輩は今、大切な受験を控えて忙しい。 だから僕の我が儘な願望で、先輩を煩わせたくなかった。 そう、僕の不安なんか一条先輩の受験や進路に比べたら取るに足らない事だ…。 「美咲、面白い話、聞かせてあげようか」 しょんぼりしている僕を見兼ねたのか、二宮先輩は慰めるようにニッコリ笑う。 二宮先輩は同性だけど、『女神』と讃えられるほどの超絶美少年。 居るだけでその場に薔薇の華が咲いたような雰囲気になる。 「面白い話?」 「うん、聞きたい?」 クヨクヨしていたって仕方ない。 今は二宮先輩の好意に甘えよう。 「…はい」   2010.02.07-  
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