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このホテルにお泊り?
まさか…でも途中他に泊まれそうな所なんてなかったし…
「い…一条先輩…」
「どうした?美咲」
「…ホントにココですか?」
「俺に任せてくれるんだろ」
ビックリして足を止めてしまった僕の手を優しく握り、一条先輩は迷わずホテルの中へーー
そこはやっぱり別世界だった。
まるでTVドラマに出て来るような、洒落たデザインのロビー。
高い天井に上品なシャンデリアが、豪華な雰囲気を更に高めているーー。
駅前でたむろしていた人々とは客層も違う。
国内外のビジネスマンや、ハイソなパーティーに出席するような人達ばかり。
こんな高級ホテル、地味な学生の僕には全く縁がない。
服装だってミスマッチだよ…。
「チェックインしてくる。ここで待っててくれ」
僕をソファのある場所まで誘導すると、一条先輩はフロントへ向かった。
マ、マジですか~?
絶対高いよね、ここ。
僕、お財布が寂しいんですけどぉ…。
頭の中が混乱して、フワフワのソファに座っていても何だかちっとも落ち着かない。
一条先輩が少し変だったのはこのためだったんだ。
今頃気づく僕だったーー。
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