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キツネは焦っていた。
時間がもう少なかった。
キツネは星空を眺めながら切なげに鳴いた。
見かねた神様はキツネの元へ降り立った。
そして問うた。
「キツネよ、お主はこれから、どうしたい?」
キツネは答えた。
「僕はただ、咲子さんを見ていたい。」
「キツネよ、わしは夜空にもう一つ、地を照らすモノを創りたいと思っている。お主の毛色のように黄金に光り輝くモノを、な。どうだ?わしの所に来ないか?」
「神様の所へ?」
「キツネよ、お主の願いを叶えてやろう。咲子と云う人間を、いつまでも見れる場所を、お主に授けよう。」
キツネは、ただただ驚くばかり。
「そんな…とんでもない。僕が神様の元へ行く、だなんて…。何故、僕なのですか?」
「キツネよ。それは、お主が愛する心を知っているからだよ。そして、人間のように欲というものが無い。ただ純粋に愛する心を持つ、お主が、わしには必要なのだ。」
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