人を思ふ月

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「それじゃあ、何になるんだい?」 「それが、まだ。名の無いモノ、です。咲子さん、その名を、付けて、もらえませんか?」 「いきなり言われても…」 「お願いします。」 「……つ…き。月、なんてどうだろう?」 「月…ありがとうございます。咲子さん、傷の手当てを、してもらった、あの時から、僕は貴女を、慕っていました。」 「キツネ君…」 「ありがとう。咲子さん…」 その時、キツネの体が輝き出した。 「え?キツネ君?」 「もう、行かなくてはいけません。さようなら。」 フワリと、キツネの体が浮いた。 空へと昇っていくキツネ。 「咲子さん、今まで、ありがとう。ずっと貴女を、見守り続けています。」 「キツネ君!」 咲子の声が遠くから聞こえる。 「ありがとう、咲子さん…。さようなら…。」 キツネは小さく呟いた。
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