1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「それじゃあ、何になるんだい?」
「それが、まだ。名の無いモノ、です。咲子さん、その名を、付けて、もらえませんか?」
「いきなり言われても…」
「お願いします。」
「……つ…き。月、なんてどうだろう?」
「月…ありがとうございます。咲子さん、傷の手当てを、してもらった、あの時から、僕は貴女を、慕っていました。」
「キツネ君…」
「ありがとう。咲子さん…」
その時、キツネの体が輝き出した。
「え?キツネ君?」
「もう、行かなくてはいけません。さようなら。」
フワリと、キツネの体が浮いた。
空へと昇っていくキツネ。
「咲子さん、今まで、ありがとう。ずっと貴女を、見守り続けています。」
「キツネ君!」
咲子の声が遠くから聞こえる。
「ありがとう、咲子さん…。さようなら…。」
キツネは小さく呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!