9人が本棚に入れています
本棚に追加
2月27日。
せっかくの週末だというのに天気はあまりかんばしくなく、雪も降って寒い日が何日か続いていた。
放課後。生徒たちは授業を終え、久々のかったるい……いや、大事な大事な全校集会のために体育館へ移動していた。
私――吉川愛美は人の波に逆らいながら、飛んだり跳ねたりして七瀬たちを探した。
自分だけ仲間とクラスが違うっていうのはなかなか不便だ。この待っている間の心細さが嫌だ。
やっとのことで背の高い実波の頭を見つけると、私は逆行しながら彼女たちのもとへ進んでいった。
「どうもー」
「ああ、愛美ちゃん」
「お、やっほー」
しかし私の予想と反して、実波の隣には有璃の姿しかなかった。
「……他のみんなは?」
「あぁ。あんちゃん(詩織)は保健室、佳音ちゃんは早退したよ」
「えぇ?! どうしたの?!」
「二人とも風邪。この時期多いだろ? 一緒にいるから伝染っちゃったのかもね」
有璃はそう言うと、「手洗い・うがいは大事だよー」と一人でうんうんと頷く。
(ウチも帰ったらちゃんとやらないとなあ……)
まあそれはスルーするとして。
「じゃあ七瀬も風邪?」
.
最初のコメントを投稿しよう!