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「この間に彼女は何をしていたんでしょうか」
「え?」
「安西さんですよ。集会には出てなかったんですよね? じゃあ最後の授業が終わって友人と別れてから保健室に行くまで、一体どこで何をしていたんでしょう」
「さぁ、そこまでは……」
保健医はそれだけ言うと、申し訳なさそうに黙り込んでしまった。
何か腑に落ちない……。横山は「そうですか……」と唸りながら、モヤモヤと引っ掛かる何かを必死に探っていた。
「あの」
ふいに保健医が呼び掛けた。凛とした声が室内に響く。
「余計なお世話だとは思いますけど、……簡単に彼女たちを疑わないでください。一度持った疑念はなかなか捨てきれないものです。だけど、…………」
保健医はそこで言葉を詰まらせる。
だけど、いつまでも安西七瀬に執着するのはやめろ。
きっとこの女性はそう言いたかったのだろう。
「それに、こういう言い方もどうかと思いますけど、集会に出ずに校内をふらついていた生徒は他にもいます。なぜ、刑事さんは安西さんにこだわるんですか……?」
「こだわる……?」
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