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初めて言われた言葉だ。安西七瀬にこだわる? 別にこだわってなんかいない。
凶器の包丁から安西七瀬の指紋が出た。決定的な証拠だ。
俺も最初はまさかと疑った。あのごく普通の少女が。
だけど、調べれば調べるほど、彼女が犯人であると思わざるを得ないのだ……。
横山の表情を見て保健医はあっ、と口に手を当てる。
「ごめんなさい。私……、失礼なこと……」
「いえ、気になさらないでください。刑事なんて、嫌われがちな仕事ですから」
横山は目の前に置かれたティーカップを持つと、淹れられたコーヒーを口に含んだ。出されたコーヒーはすっかり冷めていた。
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