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「あのぉ……すいませんついでにきくんですけどぉ、あのゆっくり走ってるドカはなんなんですか?」
「あれはなあ、ロンパリドカって言ってな、千葉のカラスの友達よ、ああやってVツインエンジンの腹に響く音で千葉のカラスが来るぞって知らせてるのさ、いわば露払い役よ」
露払いの役を終えて、ロンパリドカはゆっくりと砂利駐のギャラリーの中に入って来た。
「なんで、ロンパリドカって呼ばれてるんですかね」
ルーキーの質問に、常連達の顔が奇妙に歪む、皆笑いをこらえている様子だ。
「奴がゴーグルを取ればわかるぜ」
ルーキーはロンパリドカの顔を盗み見る様に見た。
ロンパリドカはドカに跨がったままビンテージ風のゴーグルをはずした。
ゴーグルの下からビンテージゴーグルの様な目が出てきた。
両眼が正にロンドンとパリを向いていて、しかも瞳が大きい、犬に喩えるとチワワの様な目をしている。
ゴーグルの下から自分の想像とは全く違う顔が出て来た、その意外性もあって、ルーキーは思わず吹き出した。
ロンパリドカの眼が、微妙に動きルーキーの笑いを捕らえた。
彼はやってはいけない事をしてしまった様だ。
彼はルーキーを視点に捕らえたまま、バイクを降り、ゆっくりとルーキーの方に歩いていった。
ロンパリドカがゆっくりと近付いてくる。
ルーキーはごくりと生唾を飲んだ。
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