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「本当っすか?テルさん」
ギャラリーの中の一人がテルに聞くとテルは目を瞑り天をあおいだまま答えた
「本当だ、正に青天の霹靂ってやつよ、奴にガキが出来たらしい……死ぬのが怖くなったんだとよ……守る物が出来たらこの世界ではおしめえょ、いられやしねえぜ」
重苦しい沈黙が流れる、ギャラリーの予想外の反応に焦ったのか、テルはまた一人芝居をはじめた。
「最後に、おめえらに奴の名前を教えてやる、夜空の星を見る度、奴の名前を思いだせぇ!」
遠くから4ストローク直列4気筒エンジンとヨシムラサイクロンの奏でる交響曲が聞こえて来る、千葉のカラスがやって来た。
「来たぞぉ!」
「奴の名前はなぁ」
「テルさん、どいてぇ!見えねえよぉ」
「奴の名前は……」
「どいて、どいて!」
「あ、ぁぁ……ソウ」
ギャラリーからの怒声にすごすごと引き下がり、ギャラリーの中の一人に回るテル
遥か向こうのコーナーを回り、真っ黒なGSXR400が姿を表す。
ルーキーが声を裏返しながら叫ぶ!
「うわあぁぁ、なんだあれぇ?あのジスペケアール、人が乗ってねぇ!」
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