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  「それじゃあ、私は下がるわ。冬もほどほどにしておいてね。こんな気候でもサクラを見たい呑気なニンゲンたちが居るんだから」 「此処は通過するだけだよ。じゃ、また会うかもしれないけど。良い風を、春」 「ええ。良い風を」  冬は言葉通り、数時間で去って行った。  冷たく濡れた花たちを乾かすため、私は緩やかに息を吹き掛けた。 ――願わくば、ずっとこのまま、冬と夏に会えます様に……。  end  
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