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汚れたドレスでは踊れない。
華やかな舞台に立っても滑稽なだけなら、いっそ壊れてしまえば良い。
なのに今夜はとても月が綺麗。
銀色に輝く月がとても綺麗。
通りに立つ街灯は壊れていたから、何も邪魔しないこの街で観る月は、妙な美しさに満ちています。
お別れには、とても向いてる宵の月。
私を育ててくれた狼も眠る頃、はらりと白い雪が一粒降って、私の掌で溶けて消えました。
そんな雪はとても切ない。
一瞬の瞬きですら赦されない命の灯は、私の失った記憶の水底へと、私を誘う。
在りし日の幻は、私を浸食し、やがてどうしようもない悪意を、私に産みつけました。
そんなどうしようもない記憶の断片。
そんな断片に、ほんの少しだけ触れてみましょうか。
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