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俺と愛子は喫茶店を出て、人気のないズバット洞窟と思われる洞窟の前にいた。
創『こ、ここだよな?』
愛子『多分…』
洞窟と呼ぶにはあまりにもちゃっちかった。
今にも崩れ落ちそうだ。
すると、ひとりのお婆さんが通りかかった。
愛子『す、すいません!
おばあさん!
ここってズバット洞窟ですよね?』
お婆さん『あぁ、そうじゃよ…
しかし、こんな評判の悪いちんけな洞窟に来るとは物好きよのぉ
ホォホォホォ…』
愛子『評判が悪いって?』
おばあさん『2、3年前このズバット洞窟を取り壊して、マンションを建てようとしたんじゃが、
取り壊しに来た作業員はみな気絶していたらしいんじゃ。
後で作業員に聞くと幽霊が現れたとみな口々に言い、
さらに不思議なことに、作業員はみな、同じ夢を見たという話じゃ。』
創『夢って?』
おばあさん『ある髪の長い鎌を持った女の人が、
…これ以上ここに立ち入るようなことがあったら、次はないぞ…
と言ったという夢を見たんじゃ』
俺、幽霊苦手なんですけど…
しかもおばあさんも気味悪いから正直俺はこれ以上おばあさんに関わりたくない…
が、愛子はさらに、おばあさんに質問を続ける。
愛子『へぇ~
お化けねぇ~
で、ズバット洞窟って本当にズバットしかいないの?』
お婆さん『あぁ、昔はゴルバットも沢山いたんじゃが、
今は確かにズバットしかおらんぞ…
だがな…
最近、このズバット洞窟に主と呼ばれる変わったズバットがいるという噂じゃ…』
愛子『ヌシ!?』
お婆さん『あぁ、昔の主は、クロバットだったんじゃが、ある事件を境に死んだと言われていたんじゃ
が、2、3年前から新たなズバットが主になったという話じゃ。
だが所詮噂は噂じゃ…
主なんて最初からいないという説が一番有力じゃがな…
フォホォホォホォ…』
愛子『ありがとうございます!
お婆さん!』
お婆さん『まぁ、健闘を祈るぞ!』
そう言うと、お婆さんはどこかへ去っていった。
俺、絶対洞窟に入りたくない!!
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