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午後11時55分
予告の時間まで後5分か・・・・・そう思いながらキールは、ゆっくりとその時を待っていた。
上下漆黒の服を身にまとい頭には、キザなシルクハットを被って鉄塔の最長部で今回の仕事の内容をもう一度復唱していた。
「えーっと・・・午前零時にノワール美術館に飾ってあるアルメスの傑作“嘆きの少女”を頂きに参上する。うん、これでバッチリだな」
確認を終えた所で残り一分となりキールは、目的地に向かう為特殊な方法で移動するのだった。
「さーて、やりますか」
シルクハットを被り直すとキールは、少し助走をつけて鉄塔から飛び降りた。
無謀な行為だが次の瞬間キールの背中から翼が生えそれが体を浮上させた。
黒と白、極端に違う色の翼がそれぞれの肩に生えている光景は、美しく見えてくる。
無論キールの顔が整っているからこそが前提なのだが・・・・・・
そして翼を羽ばたかせると一気にスピードを上げて目的地のノワール美術館へと向かった。
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