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もう少しで日付が変わる午後11時58分時点のルノワール美術館の周辺は、野次馬で騒がしく警備隊が敷地内に入らないよう必死に静止している。
ここにいる人たちは、怪盗キールを一目見ようと地元の人はもちろんの事わざわざ遠くから駆け付けて来た者までいた。
そんな人々を世間ではキール信者と呼ばれている。
何故キールがここまで支持されるのか? それは、彼の大胆な犯行予告もあるがシルクハットに隠れているもののその間から見える甘いマスクが女性を虜にしている。
それを象徴するように警備隊を振り切ろうとする女性たちが今日こそキールに渡そうとそれぞれ持ってきたプレゼントをアピールする。
「キール様~」
「宝と一緒に私のハートも盗んで下さい~」
もはやアイドルのコンサート並の人気である。
「押さないで、下がってください」
警備隊が一線を越えさせないようにするが数で劣るため振り切られるのも時間の問題だ。
これはまずい!そう思った時だった。
一人の女性の目の前に黒い羽がヒラヒラと舞って落ちた。
女性が羽を広い上げ空を見ると大怪盗キールが翼を羽ばたかせていた。
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