22人が本棚に入れています
本棚に追加
「ユメを守って。お願いだよ」
どんよりとした薄暗い雲と鬱蒼と生い茂る木々に囲まれた世界で。
目の前に浮かぶ真っ白な生き物が私に話しかけてくる。
垂れ目のゴマフアザラシ……のようにしか見えないんだけど。
でも宙に浮いてる。
「ねぇ。お願い。
すべてのユメが消されちゃうんだ」
おかしな生き物は無反応な私にめげずに話しかけて続けてる。
ユメを守ってって?
なにそれ?
てゆーかぁ……
アンタ何者?
そもそも。
ココはどこなのよ~っ!?
思わず声に出てしまった私の問いに、アザラシもどきが垂れ目を丸くして私を見つめ返す。
今更何言ってんの? とでも言いたげな顔で。
「まさか。何もわかってないなんて……」
ソイツは独り言のように呟いてたんだけど、全部聞こえてるわよ。
何もわかってないですが。
何か?
だって、気付いたら知らない世界で、目の前にいたのが宙に浮かぶゴマフアザラシだなんて状況。
一介の中学生の私には、体験したコトも聞いたコトもないんだからぁ!
最初のコメントを投稿しよう!