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千里丘といえば探しに行けない場所ではない。
それに団地住まいなら住人同士の付き合いも濃く、誰しも入居者の情報には通じていると聞いている。
事情を話せばすぐに一成にたどり着けるだろう。
しかし、しげに自分以外の誰かを嫁に迎えた一成を追いかける度胸はなかった。
そんなことがあって、なにかふっ切れるものがあったのか、
その後しげは五つ年上の水上という銀行員と見合いをして、とんとん拍子に話がすすみ結婚した。
公務員である体育教師の三宅よりも、民間企業の勤め人のほうが、当時景気がよく生活に不自由しないだろうというのが、しげの父の意見である。
しげは生徒たちに惜しまれながらも、勤め先の中学を辞め、転勤族の夫とともに数年おきに全国の社宅を転々と移り住む生活が始まった。
三つずつ離れて、女の子三人の子供にも恵まれた。
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