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街の大通りをしばらく歩くと、広場のチケットブースにたどり着いた。
男の子は早速持っていたチケットを受付の人に渡した。
…が。
「おや?そのチケット、何か変だね~」
受付のおじさんはカウンターから身を乗り出して男の子が手にしたチケットをじーっと見つめた。
よく見ると、チケットに書いてあるお芝居のタイトルが『君の子猫になりたい』だった。
「残念だけどこのチケットはニセモノだね。最近こういうのが多いんだよね」
受付のおじさんは椅子に座り直しながら言った。
「え~~~~~~~?!」
―せっかく苦労して手にいれたのに……
男の子はガックリと肩を落とした。
「まぁそんなにガッカリしなさんな。これあげるからさ」
おじさんは、今流行しているカードゲームのカードを3枚、慰めるように男の子に渡した。
男の子は3枚のカードを力無く受けとると、チケットブースを離れて行った。
『はぁ。これからどうしよう…』
そんなことを考えながら裏通りを歩いていたら
「あっ!!」
ドテッΣΣ
壁に立て掛けてあったはしごにつまづいて転んでしまった。
『なんか今日、ついてないかも…』
立ち上がって帽子を直すとまた歩き出した。
「おい、お前!!」
とぼとぼと裏通りを歩いていると、いきなり誰かに声をかけられた。
「さっきのチケット、ニセモノだったんだろ?」
顔を上げると声の主は、さっき後ろから追突してきたネズミ族の少年だった。
「俺はちゃんと見てたんだからな!」
「うん…そうだった…」
男の子は答えた。
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