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「やっぱりな。」
ネズミ族の少年は腕を組んで偉そうに話しはじめた。
「そこでだ。俺の家来になったらなんとかしてやれないこともないけど、どうだ?」
「え?」
いきなり意味不明なことを言われて男の子は目を丸くする。
「だから、俺の家来になれば芝居を観させてやるって言ってんだ」
……
「なるか?」
男の子は少し考えてから答えた。
「わ…分かった」
わざわざお芝居を観るためにトレノから来たのに、このまま帰れる訳もないので、この少年に協力する事にした。
「よし、じゃあ早速命令だ。俺はこっち側を見てるからお前は反対側から人がこないか見張ってろ」
「う…うん」
男の子は先ほどいた広場の様子を見に行った。
広場にはたくさんの人達がいるが、裏通りに向かってくる人はいないようだ。
「そっちは誰も来てないか?」
ネズミ族の少年が遠くから訊いた。
「うん。大丈夫みたい」
「よし、作戦決行だ!」
少年は立て掛けてあったはしごを持ち上げた。
「行くぞ、ついてこい」
男の子は少年に言われるまま後を追った。
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