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―劇場艇プリマビスタ
この飛空挺は劇団タンタラスを乗せ、今夜のセレモニーのため
アレクサンドリアへと向かっていた。
シャー…
「よっと。」
劇場艇の狭い通路に
金髪でしっぽのある少年がポールをつたって降りてきた。
少年は通路を少し歩くと
貨物室の前で止まり扉を開けた。
ギィィィ…
バタンッ
「真っ暗だな…。まだ誰もいないのか?」
チッチッ…シュボッ
少年はマッチに火をつけ、テーブルの上にあったロウソクに火を灯した。
部屋は真ん中のテーブルを中心に、静かに明るくなった。
「誰だ!!」
突然隣の部屋から怒鳴り声が聞こえてきた。
「オレだよ、ジタンだよ」
少年が答えるとその声に応じて扉が開いた。
同時に扉から三人が出てきた。タンタラスのメンバーのブランク、マーカス、シナである。
四人は左腕を胸に寄せ、右の拳を左の肘に当てた。これはタンタラスの間で交わされるポーズだ。
「ようジタン、遅かったじゃねぇか」
そう言ったのはジタンより少し背の高い赤髪の少年、ブランクである。
「すまん。ボスはもう来てるのか?」
「いんや、まだずらよ」
小太りで「~ずら」が口癖のシナ。
ガオオォォオ…』
「ん、何か聞こえるっスよ?」薄いオレンジ色のバンダナを目まで深くかぶっているマーカス。
「「「???」」」
バァンッ!
三人が入って来たのとは反対側の扉が勢い良く開いた。
「ガオオオオオ!!」
青い竜の仮面を被った男が四人に襲い掛かってきた。
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