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「あ、杏っ!」 勢いのまま、そのままに俺は席を立った。 「は、はいっ!?」 その勢いに押されてか何故か杏までもが立ち上がる。 この時、ようやく久しぶり杏の顔を直視出来たのだが 今はそれどころの騒ぎでは無い。 突然のことに訳も分からないまま愛しい女の名前を呼ぶも この先に続く言葉が見つからない。 【大切な人】 確かに杏はそう言った。 瞬時に全身の血の気がサーっと引いていくのを感じていく。 俺のいない間に..... 一体どういうことだ.... 完全に思考の止まった俺と 「2ヶ月に入ったばかりだから、まだちょっと不安なんだけどね」 付き合いたてなのか?そんな奴の話をさも嬉しそうにする杏。 「.....!?」 な、何なんだよっ! お前は俺のれっきとした妻だろ? 何をそんな堂々と不倫の事実を公表してんだよ。 しかも、それはそれは嬉しそうに.... 衝撃過ぎる内容に言葉はおろか、なす術もなく立ち尽くす。 真っ白ってのは、恐らくこういうことを言うんだろう。 「......」 はは。今の俺、どんな顔してんだろうな。 「竜は....嬉しくないの?」 この状況で、その台詞を平然と言ってのける杏は もはや悪魔か閻魔大王か? 「な、何で....」 ようやく絞り出した言葉も、情けないかな それ以上はもう、何も出てこない。 「何でって....私たちの赤ちゃんでしょ?」
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