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数分後……私の決死の説得が好を成し
「……ったくぅ、しょうがねぇなぁ」
ふて腐れ気味ではあるものの竜がようやく再度、箸に手を付けてくれた。
「ありがと!竜」
と、微笑んだのもつかの間。
私は竜のその瞬時に見せた企んだような強い瞳に、一瞬言葉を失う。
な、なによ……?
挑むような瞳で私だって負けじと竜を睨み返す。
「コレは食う!それは約束する。しかし1つ条件がある」
「は?条件?」
突然の申し出に面食らってしまう私。
しかし……それでも食べてくれるならと、私は可能な限りの受け入れを呑む覚悟を決める。
「条件って……何よ?」
恐る恐る聞くと、竜は先程と打って変わって満面の笑みを零した。
「当然!杏が俺に食べさせる。
しかも………かいがいしいナース姿の格好でな?」
「…………はぁ!?」
「ってことで……コタロー!あとは任せたぞ?」
「あいあいさー!」
さっきまで味方とばかり思っていたコタローが、すかさず私の腕を取り部屋の外に向かおうとする。
「ちょ……コタロー?」
「昨日の友は今日の敵。さぁ観念なさい!杏ちゃん」
「いやぁぁっ!裏切り者ぉぉ!」
結局、この日……。
竜はすべての納豆料理を美味しく平らげましたとさ。
めでたし、めでたし
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