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ウチのBOSSは非常に非情だ。
……いや、ダジャレとかではなく本当に。
僕も以前はBOSSの身代わりとして、この会社の経営に携わっていたこともあったが
その頃よりも更に業績は上がり、売上も利益もウナギ登りに順調だ。
それと言うのも……
『我社の意向と噛み合わないプレゼンは不要。お帰り下さい』
『え……そ、そんな……二階堂社長!』
『お疲れ様でした』
きっと寝ずに考えてきてくれたプランでも、容赦なく切り捨てるし
『竜さぁーん!お疲れ様でした。お肩でもお揉みしましょうかぁ?』
『いいえ結構です。冴島さんは早く結婚相手でも見つけて下さい』
『う………』
長年、共に闘ってきた同士にも何の躊躇もなく毒を吐く。
にしたって………。
「おい、竜。ビジネスならまだしも秘書の冴島さんにまで……彼女お前一筋で仕事も頑張ってきてんのに」
ヤレヤレといった様子で僕が尋ねれば
「俺は望んでない」
と、アッサリ言い放つ竜。
「そんなことより、廉。次の会議の資料さっさと渡せよ」
「あ……はいはい」
「返事は1回」
「はぁーい」
「………お前、俺をおちょくってんのか?」
殺気漲<ミナギ>る鋭い視線で睨みつけられたら、嫌でも従わざるを得ないのだ。
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