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「ふぁぁ~やっぱり屋台のお好み焼きは美味しいわぁ」
杏と俺は人込みから少し離れた神社の境内で、先程買った1つのお好み焼きを突っついていた。
もともと人込みは苦手な俺だが、杏がいる……それだけでその空間は実に心地よくなる。
ホント不思議だ。
「はい、竜。あーん」
「!?」
非日常的なこんな空間に、杏も大胆になっているのか……いつもなら恥ずかしくてやらないようなことを平気でやってくる。
「お前……」
俺の方が躊躇していると
「いいじゃん。気にしない気にしない」
「って、気にするわ!かなり恥ずかし過ぎるわ」
「ちぇ~」
俺に食べさせるつもりだったお好み焼きの一欠けらを杏は寂しそうに箸で突っついていた。
「…………」
ったくぅ……仕方ねぇな。
俺は杏の持っていた箸そして指ごと掴み……そのお好み焼きの一欠けらを口に入れた。
「あ………」
「うめぇな、コレ」
「うん!」
ようやく杏の顔に笑顔が戻った。
こんなことくらいで喜ぶなら……何だってしてやるよ。
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