夏祭り

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「ねぇ屋上だよ、屋上」 「わぁってるって」 俺の腕にしがみつきながら杏は、どうやらキツく目を閉じているのか歩き方がたどたどしい。 「杏、目閉じてんのは構わねぇけど危ないから足元だけは気をつけろよ?」 「な……め、目なんかつぶってないもん!」 「…………」 強がっているようだが……バレバレだ。 それが証拠に俺の左腕は取れちまうんじゃねぇかってくらい杏の力がこもっている。 まぁ……それはそれでラッキーだけどな。 でも、なーんか納得できねぇから杏にひとつだけイジワルな提案を持ち掛ける。 「そのかわり屋上に着いたら俺に何か褒美はあるんだろうな?」 「え?」 「例えば……杏とか」 「は!?」 捕まれていた腕が急に離される。
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