恩返し

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「あ、もうこんな時間……」 時刻は11時を既に5分を過ぎていた。 竜と久しぶりのデートということで洋服選びにも少し時間をかけ過ぎてしまい、屋敷を出たのも随分遅くなってしまっていた。 でも竜が好きそうな女の子らしいふんわりとした服装をチョイスしてきたつもり。 夏だし暑いから、ちょっとだけ大胆に肩紐で結われた白い膝上フレアのワンピース。 背中が少し開いてるのは気になるけど、相手は竜だし問題ないよね? そんなことを思いながら、私はウキウキとした足取りで……でも若干の急ぎ足で待ち合わせの駅前広場へと向かっていた。 「あ………」 思わず息を飲む。 だって。いつも待ち合わせの時間に間に合うハズのない竜が、もう既に到着していたから。 しかも少し不機嫌そうに俯きながらも、私の姿を探すべく辺りをキョロキョロと見回していた。 その姿は私から見て…… 挙動不審としか言いようがなかったほど。
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