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私はズンズンといった足取りで、今も別の女の子達に囲まれる竜の元へと向かって行く。
しかし……途中、竜が私の姿をようやく見つけ出したようで、一目散にこちらへと駆け寄ってきた。
今まで、どんな女の子にもなびかなかった竜が……こうして私の姿を見るなり駆け出してくれたことに
少しだけ胸を締め付けられるような思いがした……が!
こんなことで胸ときめいてる場合じゃない!
竜が息せき切って私の目の前まで来た時に
「竜、女の子にああいう態度…」
「遅せぇ!しかも……エロ過ぎ」
「はぁ!?」
何のことやらサッパリ??な私を余所に、竜は自分の着ていた麻のシャツをいきなり脱ぎ始め、黒のタンクトップ姿になった。
「な、何やってんのよ!?」
「何って……お前、肌露出し過ぎだろっ!」
そう乱暴に言い捨てると竜はその麻のシャツを私の肩に羽織らせた。
「へ………?」
「夏の性犯罪はこういった女の隙から狙われるんだ。もっと危機感持てって」
諭すような……それでいて懇願するような竜の切なそうな声に、私も思わず黙って頷くことしか出来なかった。
竜に一言言うつもりが、すっかり形勢逆転。しかも
「こんな可愛い格好する時は……俺と2人きりの時だけにしとけ」
なんて耳元で囁かれちゃったら私何も言えなくなっちゃうじゃんか。
そんな私達2人の姿を広場にいた女の子達は羨望と嫉妬の眼差しで見つめていた。
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