恩返し

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「んなことより、お前……俺にどんだけ恥ずかしい格好させて、いつまで待たせる気だよ!?」 竜は私の腕を取ると、人気の無い場所へと連れて行く。 ってか、何故ゆえ叱られる?私。 「はぁ?確かに遅刻したのは悪いと思ってるけど、その格好は自分でチョイスして来たんでしょ!?」 「あん!?俺は孝太郎からお前がコレを着たら喜ぶって言われたから」 「は」 「……ってか、違うのか?」 2人で顔を見合わせる。 『あんにゃろぅぅぅ……』 私は、そしてきっと竜もであろう今頃イタズラっぽく笑い、ピースなんかしてるコタローを思い浮かべる………が。 「ま……でもいつもの竜とは180度違うから、これなら絶対バレないんじゃない?」 そう、少なくとも今ここにいる人には感づかれていないしね。 私は竜の肩をまるで慰めるようにして軽くポンポンと叩いた。 「ちっ……こんなチャラチャラした格好、俺の趣味じゃねぇのによぉ」 気の毒に、ガックリと肩からうなだれる竜。 「そうかな?私は好きだよ。竜らしくなくて笑えただけで………あ!」 やばっ!失言だった。 と、思ったところで覆水盆に返らず。 「ほぉ……笑ったのか。お前、俺のこの格好見て笑ったんだな?」 あれれ?何だろ、竜の背後から凄まじいほどの怒りのオーラが立ち込めているような……。 出来るものなら神様! 私をこの場から瞬時に消し去って下さいまし!!
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