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と、いうことで。
やって来ました、映画館!
が…しかし!正直ここまで到着するまでの間に一体どれだけの女子の皆様方の羨望やら反感の視線に耐えてきたのやら……。
私は深い溜め息をはく。
その隣には……ブン殴ってやりたいくらいに涼しい顔した竜が私の気持ちを知ってか知らずか、呑気に観たい映画の品定めを始めていた。
「杏、なに観る?俺、アレとか好きなんだけど」
「今日はコレよ」
アクション映画のポスターに心奪われている様子の竜だったけど、私は有無を言わさないまま持ってきたチケットを差し出した。
「げ………」
「¨げ¨って何よ?」
「いや……俺、恋愛ものは……苦手っつうか。特に純愛とかって、こう背中がかゆくなるというか……」
「………私、竜とこの映画が観たくて一生懸命並んでチケット買ったのに………」
私はわざとらしく泣きマネなんかしてみる。
ちなみに言うと…このチケットは一生懸命並んで購入した……わけなどなく、たまたま姫ちゃんから譲り受けたモノである。
でも!!!
『コレを観たら絶対!二階堂くんと更にラブラブになること間違いなしですよ』
と、姫ちゃんから2人の親密度を上げると太鼓判貰ったほどの代物なのである。
そう、今日は何と言ったって
『特別感謝デー』
今日くらいは私から竜に、たくさんの愛情を注いであげたいんだ。
そのモチベーションを上げるためにも、この眉唾<マユツバ>的な映画は……今の私にとっては最大の原動力でもあるのだ。
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