9145人が本棚に入れています
本棚に追加
「………い………きろよ」
…………ん?
「………おい、起きろって杏」
「へ………?」
「とっくに映画終わってっぞ?」
竜のその言葉で私は勢いよく身体を起こす。
「あ………あれ?」
気付けば辺り一帯、彼氏の腕に抱かれながら目頭を押さえる女の子達の数々。
「……………!!」
やばっ!!!
計画では私もあんな風になる予定だったのに……。
「寝ちゃたよぉ………」
両手で頭を抱える私。
出来ることなら、ドラえ○んのタイムマシンに今すぐ乗って過去に戻りたい!
でなきゃ、ハリー○ッターの魔法で……。
と、私がしようもない後悔と実にくだらない願望を頭に張り巡らしている横で
竜がいきなり笑い始めた。
「お前、始まって20分もしないうちに寝はじめたんだぜ?
ってか、もともと俺よりお前の方がレンアイもの苦手だったろ?」
「…………あ」
確かに……そう、でした。
忘れてました。
恋愛ボケしとりました。
私は、愛だ恋だと言うものより
見事なドライビングテクでのカーチェイスや
激しいまでの銃の攻防戦などが
………大好物なのでありました。
「ははは、ゴメン」
渇いた笑いで私が言うと
「いや、映画のおかげで俺は…」
竜がいきなり私の耳元に口を寄せてきた。
「このまま杏をホテルに連れてきたくなっちまったけどな?」
そう甘く囁いた。
最初のコメントを投稿しよう!