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竜の刺すような視線に耐え切れず私はポツリポツリと本音を吐露し始める。
「べ、別に竜とラブラブしたいってワケじゃないの……」
「はぁ!?」
当然のように竜の額に一瞬にして青筋が出現した……ように私には見えた。
「あ……いや、そのぉ……」
いけない、いけない。柄にも無いようなことを言おうとするから、言葉のチョイスを間違えてしまった。
私は今だ仁王像のような顔した竜をなるべく見ないフリして、深い深呼吸をした。
「だ、だからね?私ばっかりいつも竜から愛情を貰ってる気がするから……今日くらいは……その」
「……………」
「竜に恩返し、したいと思って」
「……………」
「……………」
うーん……竜のこの沈黙が怖い!
でもでもでも!!
えぇい!女は度胸じゃい!
「だ、だから!今日くらいは私から積極的に竜とラブラブしたいと思ったの!」
何が私をそうさせたのか……。
気付けば物凄い勢いで椅子から立ち上がり、私はこぶしを握りしめていた。
「あ………」
ふと我に返り、恐る恐る辺りを見回すと……案の定、店内にいたお客さんの殆どが¨何事か?¨と今だ立ち尽くしている私を興味深く見つめていた。
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