幼き日々の叶わぬ夢

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燃え盛る王座の横に、うめき声をあげてうごめく物体があった。 煙に撒かれて視界が悪い中、よく目を凝らして見てみると、それは胸に白木(ホワイトアッシュ)の杭を打たれて悶える女王の姿だった。 「お母様――!!」 血塗れになった母に声を張り上げるが、少年の声は吹き上げる炎によって意図も簡単に掻き消された。 放たれた火の勢いが増し、城全体が炎で包まれていく。 「お母様っ!!」 「ロイド様、いけません! 早く逃げなければ、貴方様の命も危険になります!!」 「アンバー、これは僕の命令だ! お母様を助けにいかせて!!」 アンバーと呼ばれた従者は、泣きながら懇願する少年の願いを聞き入れず、掴んだ腕を離さなかった。 「……僕に歯向かうのか」 「それは、なりません」 話を聞き入れない従者に苛立った少年は、掴まれた腕を振り払い倒れてきた柱の間を抜けて王座まで駆け寄ろうとした。 しかし、微かに聞こえてきた声にふと足を止めた。 「ロ……イド、逃げなさ……」 「お母様……」 虫の声で呟いた一言は、しっかりと少年の耳に届いていたようだった。 「ロイ、ド……」 微かな息混じりの声で少年を呼ぶ。 もう一度駆け出そうと足を進めた時、女王の側に立っている黒い影の存在に気がついた。  
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