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朝起きると、そこは見慣れない天井だった。
うぅ・・頭が痛い。
そして、気持ち悪い。
そう思い、起き上がろうとするが、なかなか体が動かせない。
ここは、どこだろう?
聞こえてくるのは、シャワーを浴びる音だけだった。
しばらく考えていると、シャワーの音が止まり、誰かが脱衣所から出てきた。
「係長・・・」
「お、目が覚めたか。」
桃子は、顔が真っ青になった。
「大丈夫か?」
「あ、あの・・・昨夜は、私・・・」
そう言いかけると、
「あ、昨日ね、激しかったよ。」
と、俊作はニコニコ笑った。
「え・・・」
その言葉に、桃子は血の気が引いた。
「うそうそ、冗談だよ。真に受けるなよ。
昨日は、3人でお酒飲んで、タクシーに乗って帰ろうとしたら、お前寝ちゃってさ、起こしても、ちゃんと受け答えできない状態だったから、家わかんなかったし、家に泊めただけだ。
何もしてないから安心しろ。」
俊作の言葉に、やっと少し安堵した。
男の家に泊まるなんて、有り得ない話だった。
母にあれほど口すっぱく言われていた。
男は狼だ。
だから、二人っきりになると、どんな間違いがあるかわからない。
そんな事を考えていると、俊作の顔が近づいてきた。
「本当、陣川だよな?」
「ひゃ!」
顔が近すぎて、つい声を出して驚いてしまった。
「シャワー浴びるなら使ってもいいぞ。」
俊作にそう言われたが、桃子は断った。
男の家でシャワーを浴びるのは、きっとそういう行為をする気があると思われるんじゃないかと思っていた。
テレビドラマの見すぎかも知れないが、桃子には免疫というものがなかった。
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