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コンビニから帰ると、俊作は何気なく、桃子に聞いた。
「もしかして、陣川、今ノーパン?」
その質問に、桃子の顔はみるみるうちに、真っ赤になった。
俊作はその姿が、なぜか妙に可愛いと感じてしまった。
桃子は首を振り、急いで脱衣所に向って、パンツを履いた。
俊作が、あんな事を平気で聞いてくるなんて、思っていなかった。
でも、そうかも知れない。
いつも、女性社員と楽しそうに話をしている。
きっと、そんな会話も平気なのだ。
気にしては駄目なんだ。
そう思っても、やっぱり免疫のない桃子は、恥ずかしさで一杯だった。
桃子は、可愛い下着を着たことない。
それもまた、母の教えだ。
下着は、伸縮性に優れていて、生地は綿でなければ駄目だと言われた。
あとは、へその真ん中までくるパンツでないと、お腹が冷えて、子供を産めない体になると、口すっぱく言われてきた。
レースのついた下着コーナーを、じっと見ていると、母は更に桃子に言った。
「この下着はね、娼婦が着る下着なのよ。」
それを、信じて疑わなかった桃子だったが、やっぱり一度はああいう下着を着てみたい。
そう思っていた。
桃子が脱衣所からなかなか出てこないので、俊作は心配になった。
「ごめん、何か失礼な事言っちゃった?」
その声にハッとして、脱衣所を出た。
掛けたばかりのウェーブが、桃子に色気をくれる。
俊作は、少し桃子に見とれてしまった。
元々、桃子は顔は悪くない。
ただ、地味なのだ。
それが、髪型一つ変わるだけで、女の色気が出ていた。
コンビニで買ってきたサンドイッチや、コーヒーが、テーブルに用意されていた。
昨日まで、会社の上司だった男の家で、朝ごはんを一緒に食べる。
そう思うと、桃子は急に恥ずかしくなった。
でも、恥ずかしさと同時に、くすぐったい気もした。
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