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仕事が終わると、皆飲みに行ったり、合コンに行ったりする。
だけど、桃子は仕事が終わると、真っ直ぐ家に帰るのだ。
それは、まるで伝書鳩のように。
だから、誰も桃子をアフター5には誘ってくれない。
彼女は真面目で、誘ってもきっと来ないだろう、そう思われているのだ。
でも、それを悲しんだり、孤独に感じてはいけない。
これも母の教えだ。
自分の人生を嘆く人間は、幸せにはなれない。そう教え込まれていた。
だけど、母の言いつけ通りに生きてきたのに、桃子は自分の人生を幸せだと、思ったことはなかった。
このまま、朽ち果てるのだ。
そう思うと、虚しくて、苦しい。
どこかに飛び出したい。
そう思っていた。
その思いは、日に日に募っていくのだ。
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