第七羽

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「結局、より戻したらしいよ。」 人の噂は、たちまち広がる。 昔、近所で、高志の浮気の話が広まった事がある。 智代はどういう気持ちだったのだろうか。 佳代との付き合いが24年だと聞いていたから、桃子を妊娠した時に、すでに高志は佳代と不倫していた事になる。 妻の妊娠中に、女を作るなんて、やっぱり酷すぎる。 桃子は、もう高志や、佳代のことが信じられなかった。 佳代は、智代をいつも悪く言っていた。 「あなたのお母さんに、お父さんは苦しめられていた。」 確かに、そう言っていた。 高志が、智代を苦しめたから、そうしたんじゃないのだろうか? 桃子が考え込んでいると、桃子の肩をポンポンと、俊作が叩いた。 「陣川さん、眉間にしわ寄せて、何考えてるの?」 「いえ、何でもないです・・・」 ただでさえ、噂が立っているのに、俊作は皆の前で、平気で桃子に話しかけてくるのだった。 隣を見ると、真美が睨んでいた。 真美が、そんなに俊作を好きだなんて、桃子は知らなかった。 いつも、合コンばかりして、色んな男と付き合っていたのに。
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