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「ううん、何でもないよ。」
「本当に?何か隠してない?」
俊作は、桃子をじっと見つめて、目を逸らさない。
桃子は恥ずかしくて、顔を赤くしながら目を逸らそうとした。
俊作は、目を逸らそうとした桃子の顎をぐいっと上げて、キスをするのだった。
桃子は、本当に幸せだった。
だけど、頭の片隅で、智代の事が頭から抜けないのだ。
可哀想な智代。
哀れな智代。
籠の中で、羽根を毟られていたのは、自分ではなく、きっと、智代だったのだ。
「桃子って、時々何考えてるかわからなくなるよ。
隠し事とか、しないで欲しい。」
俊作を、不安にするつもりはないが、桃子はどうしても、家庭の事を俊作に話す事は、まだ出来なかった。
「いずれ、必ず話すから、それまで待ってて。」
「わかったよ。」
そう言うと、桃子をベッドに押し倒した。
「桃子、一緒に住まない?」
俊作からの思いがけない言葉に、桃子は嬉しかった。
「うん。」
笑顔で、そう答えると、また俊作はキスをした。
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