第七羽

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「ううん、何でもないよ。」 「本当に?何か隠してない?」 俊作は、桃子をじっと見つめて、目を逸らさない。 桃子は恥ずかしくて、顔を赤くしながら目を逸らそうとした。 俊作は、目を逸らそうとした桃子の顎をぐいっと上げて、キスをするのだった。 桃子は、本当に幸せだった。 だけど、頭の片隅で、智代の事が頭から抜けないのだ。 可哀想な智代。 哀れな智代。 籠の中で、羽根を毟られていたのは、自分ではなく、きっと、智代だったのだ。 「桃子って、時々何考えてるかわからなくなるよ。 隠し事とか、しないで欲しい。」 俊作を、不安にするつもりはないが、桃子はどうしても、家庭の事を俊作に話す事は、まだ出来なかった。 「いずれ、必ず話すから、それまで待ってて。」 「わかったよ。」 そう言うと、桃子をベッドに押し倒した。 「桃子、一緒に住まない?」 俊作からの思いがけない言葉に、桃子は嬉しかった。 「うん。」 笑顔で、そう答えると、また俊作はキスをした。
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