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俊作が出張から帰ってくると、引越しすることになった。
高志と、佳代には、あれ以来、桃子は会っていなかった。
だけど、引越しする事を伝えた方がいいのかも知れない。
そう思っていた。
実家へ久しぶりに向う。
インターホンを押すと、すぐに佳代がやって来た。
「桃子さん、久しぶりね。」
華やかな笑顔は、相変わらずだ。
自分が男でも、やっぱり智代ではなく、佳代を選ぶのかも知れない。
でも、ふと気がついた事がある。
智代と、佳代は、名前が一文字被る。
なぜだか、少し不自然な気がする。
「桃子さん、綺麗になったね。」
お茶を桃子に出しながら、佳代はそう言った。
「この前、話していた彼と同棲することになったんです。」
今まで、恋のこの字もなかった桃子が、男と同棲と聞いて、佳代は驚いた。
「そうだったんだ。なんか、知らない間に、桃子さんも大人になったのね。嬉しいわ。」
佳代は、この前、桃子が高志を責めた話を、きっと知っているのに、何もなかったふりをするのだった。
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