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少し前の桃子は、決して主役にはなれないほど、地味で、目立たない女だった。
だけど、恋をして、綺麗に着飾ると、まるで、シンデレラのように美しい。
それは、今目の前にいる、佳代にそっくりなのだ。
だけど、桃子はそれに気づいてはいなかった。
「それで、新しい住所です・・・」
桃子は、新しい住所が書かれた紙を、佳代に渡した。
「ありがとう。お父さんにも、きちんと伝えておきますね。」
桃子は、佳代にメモを渡すと、高志には会わずに実家を出た。
それを寂しそうに見送る佳代を、桃子は知らなかった。
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